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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第10章 第三話 【白妙菊の約束】其の参
お逸は涙ぐんでいる妙乃を痛ましげに見つめていたかと思うと、懐からそっと一枚の文を取り出した。この手紙は過ぐる日、妙乃が廊下に落としていったものだ。
そういえば、あのときも妙乃はひっそりと涙を流していたのだった。
お逸の瞼に改めて、あの日の妙乃の泣き顔が甦った。あの時、お逸は一刻も早く手紙を妙乃に返さねばならないと思ったにも拘わらず、実際には、あれからすぐに盗っ人扱いされる事件が起きたため、妙乃に返すことができなかった。
そういえば、あのときも妙乃はひっそりと涙を流していたのだった。
お逸の瞼に改めて、あの日の妙乃の泣き顔が甦った。あの時、お逸は一刻も早く手紙を妙乃に返さねばならないと思ったにも拘わらず、実際には、あれからすぐに盗っ人扱いされる事件が起きたため、妙乃に返すことができなかった。