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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第10章 第三話 【白妙菊の約束】其の参
ほぼ相次いで到着した二通の手紙の内容は大体は同じことが記されていたが、そのことがかえって弟の容体のただならぬ様子を伝えているようで、妙乃はいたたまれない日々を過ごしているのだった。
春の陽が真っすぐに地面を照らしている。
この樹の蕾が綻ぶまでに、そう幾日もあるまい。時折、穏やかな風が優しく二人の少女の間を吹き抜けてゆく。妙乃とわずかな距離をおいて向かい合うお逸の瞳に、桜の樹の枝の向こうにひろがる春の空がかいま見えた。
春の陽が真っすぐに地面を照らしている。
この樹の蕾が綻ぶまでに、そう幾日もあるまい。時折、穏やかな風が優しく二人の少女の間を吹き抜けてゆく。妙乃とわずかな距離をおいて向かい合うお逸の瞳に、桜の樹の枝の向こうにひろがる春の空がかいま見えた。