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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第10章 第三話 【白妙菊の約束】其の参
妙乃は眼を伏せた。記憶を手繰り寄せるかのように、じっと眼を瞑っている。
「確か、季節は夏の終わりで―、そう、私の家の近くに小さな川が流れているのです。その川原には丁度、白妙菊が一面に咲き乱れていて。それはもう、見事な光景でした」
「白妙菊―?」
お逸が小首を傾げると、妙乃は淡く微笑した。
陽光が妙乃の横顔に微妙な陰影を与えている。それはどこか十一歳の少女とは思えぬ大人びた、それでいて儚げな美しさにふちどられている。
「確か、季節は夏の終わりで―、そう、私の家の近くに小さな川が流れているのです。その川原には丁度、白妙菊が一面に咲き乱れていて。それはもう、見事な光景でした」
「白妙菊―?」
お逸が小首を傾げると、妙乃は淡く微笑した。
陽光が妙乃の横顔に微妙な陰影を与えている。それはどこか十一歳の少女とは思えぬ大人びた、それでいて儚げな美しさにふちどられている。