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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第10章 第三話 【白妙菊の約束】其の参 
 その夜半のことである。
 一階の女中部屋で眠っていたお逸が厠に行った帰り道、庭を白いものがふわりとよぎるのが夜目にもはっきりと見えた。思わず身体中の膚が粟立つ。
 お逸はそれでもなお眼を凝らして、その怪しい者の正体を見極めようとして、ハッと息を呑んだ。
「―妙乃ちゃんッ?」
 お逸は裸足であることも忘れて、廊下から庭へと走り降りた。
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