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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第11章 第四話【恋月夜】 其の壱
この頃、お逸は庭の桜の樹の下でたまに午睡をする。むろん、やり手のおしがに見つからぬように、せいぜいが四半刻ほどの間、うとうとと微睡むだけだが、温かな陽溜まりで丸くなっていると、本当にぐっすりと寝入ってしまうこともあった。まだ十六歳のお逸にとって、夜明けと共に起き出し、深夜までの下女奉公はけして楽なものではない。疲れから、一度熟睡してしまったら、なかなか目覚めないこともままあった。