この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第11章 第四話【恋月夜】 其の壱
清五郎は、お逸の心を見透かすかのように口の端を歪めた。
「お逸、お前が真吉と手に手を取って逃げた後、私が何もせずに手をこまねいてお前らの好きにさせていたと思うのか?」
お逸は唇をきつく噛みしめた。やはり、清五郎は二人のゆく方を追っていたのだ。どのような方法を取ったのかまでは判らない。しかし、伊勢屋ほどの財力と知力、それに人脈があれば、何とでもできたに相違ない。今日まで見つからなかったのは、不幸中の幸いだったのだろう。―だが、とうとう、この男に見つかってしまった。
お逸の身体中の膚がざわざわと粟立った。
「お逸、お前が真吉と手に手を取って逃げた後、私が何もせずに手をこまねいてお前らの好きにさせていたと思うのか?」
お逸は唇をきつく噛みしめた。やはり、清五郎は二人のゆく方を追っていたのだ。どのような方法を取ったのかまでは判らない。しかし、伊勢屋ほどの財力と知力、それに人脈があれば、何とでもできたに相違ない。今日まで見つからなかったのは、不幸中の幸いだったのだろう。―だが、とうとう、この男に見つかってしまった。
お逸の身体中の膚がざわざわと粟立った。