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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第2章 第一話【天つみ空に】 其の弐

「この歌は父が母に求婚したときに、贈ったものだそうです。それを初めて聞いたときは、あまりに父らしくなくて、思わず笑ってしまったので、父が失礼な奴だと拗ねてしまって。ああ見えて、子どものような純真なところのある人でした」
母は小さな駄菓子屋の娘として生まれた。店の前を偶然通りかかった父が店番をしていた母を見初め、是非にと熱望し、所帯を持ったのである。この歌はその際、父が母に語り聞かせたものだ。
「本当に優しい父でした。どうして、父があそこまで追いつめられていたことに気付かなかったのか、今更ながらに悔やまれてなりません」
母は小さな駄菓子屋の娘として生まれた。店の前を偶然通りかかった父が店番をしていた母を見初め、是非にと熱望し、所帯を持ったのである。この歌はその際、父が母に語り聞かせたものだ。
「本当に優しい父でした。どうして、父があそこまで追いつめられていたことに気付かなかったのか、今更ながらに悔やまれてなりません」

