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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第12章 第四話【恋月夜】 其の弐
 真吉の幾億もの夜を集めたような漆黒の瞳が軽く見開かれた。
「お願いだ、泣かないでくれ。俺は、お前の歓んでいる顔や笑っている顔を見ているのが好きなんだ。お前が笑っていれば、俺も嬉しいし、お前がこんな風に哀しんでいれば、俺までどうしたら良いか判らなくなっちまう」
 真吉の声音には心からの労りがこもっている。それは、お逸にもすぐに察せられた。だが、そのときのお逸の心はあまりにも傷ついていた。清五郎にとことんまで嬲られたことで、お逸は身体だけでなく、心まで深く傷ついていたのだ。
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