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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第12章 第四話【恋月夜】 其の弐
お逸が泣きながら去った後、真吉はやり場のない感情を抱え、惚けたようにその場に立ち尽くしていた。
静かな怒りがふつふと身体の奥底から湧いてくる。静謐な瞳に、蒼白い怒りの焔が燃え上がった。
―惚れた女であれば、奪うよりは守る強さを男は持つものだ。
そんな簡単なことが何故、あの男には判らない。あの冷酷で人を人とも思わぬ男が真吉の大切な女を傷つけた。しかも、これ以上はないというほど容赦ない残酷さで。