この作品は18歳未満閲覧禁止です
この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第13章 第四話【恋月夜】 其の参
最初はまずいばかりで少しも美味しいと思えなかったにも拘わらず、しまいには、お逸自身、酒の味が判らなくなっていた。つまり、それほど酔いが回っていたということだ。ただ熱い雫が喉元をすべり落ちるだけで、その熱は喉許から胃の腑を通り、更に身体全体へと拡散されてゆくようだ。
白い喉をのけぞらせて盃を重ねるお逸を、清五郎はいつになく上機嫌で見つめた。盃が空になると、すかさず並々と酒を注いでやる。