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この想い、あなたに届くまで~遊廓(くるわ)の恋~
第13章 第四話【恋月夜】 其の参
 甚佐の部屋を出て、お逸は力ない脚取りで階段を上がった。真吉にここで別れを告げたのは、まだほんの昨日のことなのに、あれから随分と長い年月が経ったような気がするのは何故だろう。
 二階の部屋に帰ると、清五郎から届けられたという品々が整然と飾られていた。まずは絹で仕立てた五つ重ねの夜具、桐箪笥ふた棹、大きな鏡台、三面鏡、眼にもあやな西陣帯、きらびやかな打掛が二枚。いずれもが贅を凝らした逸品ばかりであった。
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