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第13章 第四話【恋月夜】　其の参

　女郎が脚抜けせぬよう厳重に見張るのも、見世の娼妓が可愛いからで、憎いからではない。脚抜けした女郎が捕まれば、どれほど酷い折檻を受けるか、おしがは身をもって知っているからだ。
―おしがさん、ごめんなさい。結局、私、おしがさんの教えを守れそうにないみたい。
　お逸は心の中でそっと詫びる。
　もう一度、月を見上げる。
　月もまた泣いているように歪んで見えた。