この作品は18歳未満閲覧禁止です

- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
6月の花婿
第2章 仕掛けられた罠
「どなたかな?どうぞ。」
男の返事を聞いて、部屋の中へ足を踏み入れた。
「雑誌Soundの担当編集、汐田です。お待たせしてすいません。」
一枚の名刺を取りだし、足をふみだそうとした。
ところが汐田の名前を聞いて、男は椅子から立ち上がった。
長い足で汐田の目の前まで歩み寄ると、微笑んで名刺を受け取った。
戸惑う汐田を余所に、男は汐田の手を取り椅子へ促した。
「先ずは座って。」
「あ、ありがとうございます。」
「僕は呉グループ会長の呉 皐月。悪いけど、名刺は無いんだ。」
申し訳ない、と付け足した。
容姿で人を判断するのはどうかと思うが、いかにも苦労の少なそうな人だと汐田は感じた。
とは言え、対応は丁寧で嫌味なところもない。
急に取材拒否をして、周りに迷惑を掛けまくったような男にはみえない。
しかし、それは汐田の思い違いだとすぐに気づかされることになった。
「いえ、とんでもないです。名前は何度か耳にしていました。どうもはじめまして。」
「こちらこそはじめまして。どうぞよろしくね。」
「よろしくお願いします。」
軽く頭を下げた。
そして、ずっと気になっていたことを尋ねた。
「呉様は、どうして私をお呼びに?」
「それは…」
聞いて、汐田は絶句した。

作品検索
しおりをはさむ
姉妹サイトリンク 開く


