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森の中
第11章 11 ペア
 新しいカップの使い心地は良かった。口当たりが柔らかく滑らかだ。冬樹の唇を思い出す。同じカップに口づけている気がして瑠美は仄かな満足感を得る。

 いつか二つのカップが再び揃えられたら――その時は同じくらい使い込まれて同じくらい深みのある色になっていますように、と瑠美は飲み干したカップの底を眺めて思った。
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