24個の小さな扉
第1章 24個の小さな扉
コンコン、と扉を叩く音がする。
「るり?るりちゃーん?」
ノックにも、扉越しのくぐもった声にも、応えない。
ベットの上で、布団をかぶる。
「……俺、もう行かなきゃなんだけど……今日のカレンダー、るりが開けちゃって、良いからね……?」
行って来ます、って、しょんぼりした声が聞こえる。
玄関に向かうドアが開いた音を聞いて、跳ね起きた。追い掛けたけど、玄関はもぬけの殻だ。
……間に合わなかった。
昨日の夜の、小さな仲違い。
仲直り出来ないまま、光は出掛けて行ってしまった。