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ダブル不倫 〜騙し、騙され
第5章 隣人
数日後、インターホンの呼び出し音がなった。午後一時十七分。確か、娘の凛華が帰宅する時間だ。優子は玄関の錠を開けに出た。
「ああ……おかえ……り……、えっ……?」
玄関には若い男性が立っていた。ジーンズに白のティシャツが似合う小綺麗な男性だ。小柄だが肩幅があるように見える。大学生だろうか、小さなグラスのメガネが知的な青年だ。
――まあ、かわいい。弟にしちゃいたい。一人暮らしかしら……。
「あ、こんにちは……、僕、隣に越してきた、畠山《はたけやま》と言います。あ、これ……」
優子より一廻りは年下であろう畠山は、ショートカットの自分の頭を撫でながら、〈ご挨拶〉と書かれた熨斗がついた小箱を優子に手渡した。
「ああ、わざわざご丁寧に……。何か困ったことがあったら、何でも聞いてね」
優子は畠山が帰ったあと、ドレッサーの前に座り鏡を覗き込んだ。笑顔を作る。ドレッサーに入れてあった明るめの口紅を引いてみた。それは通信販売で手に入れた物だが、年齢の割に派手すぎると躊躇っていたものだ。ペーパーで口紅のついた唇を押さえた。そこにふっくらとプリントされた自分の唇があった。
――この唇を畠山さんはどう思うかしら……。
「ああ……おかえ……り……、えっ……?」
玄関には若い男性が立っていた。ジーンズに白のティシャツが似合う小綺麗な男性だ。小柄だが肩幅があるように見える。大学生だろうか、小さなグラスのメガネが知的な青年だ。
――まあ、かわいい。弟にしちゃいたい。一人暮らしかしら……。
「あ、こんにちは……、僕、隣に越してきた、畠山《はたけやま》と言います。あ、これ……」
優子より一廻りは年下であろう畠山は、ショートカットの自分の頭を撫でながら、〈ご挨拶〉と書かれた熨斗がついた小箱を優子に手渡した。
「ああ、わざわざご丁寧に……。何か困ったことがあったら、何でも聞いてね」
優子は畠山が帰ったあと、ドレッサーの前に座り鏡を覗き込んだ。笑顔を作る。ドレッサーに入れてあった明るめの口紅を引いてみた。それは通信販売で手に入れた物だが、年齢の割に派手すぎると躊躇っていたものだ。ペーパーで口紅のついた唇を押さえた。そこにふっくらとプリントされた自分の唇があった。
――この唇を畠山さんはどう思うかしら……。