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第8章 授業参観の夜

「いいえ、黙りません。山瀬さん、あなたの浮気を知ってしまった自分のストレスを解消しようと優子さんは……」
　
　修一が畠山の身体を引き寄せる。修一の膝が畠山の腹に入った。

　グッ……。

　畠山の身体がくの字に曲がる。
　
「……優子さんはあなたに関心を持ってもらおうと、口紅や髪型を変えたり……僕と……」
　
　グフッ……。

　また、畠山の腹に膝が入った。

　畠山が身体を折り曲げるように床に崩れる。

「修一さん止めてっ……」

「コイツが余計なことを言うからだよ」

「だけど、修一さん、あなたは……気づいてくれなかった。他の男性《ひと》と関係をもつのはダメだけど……。でも、主婦は……、主婦は、ストレス発散なんてできないの。お料理、育児、逃げても、逃げても私たちにはそんな現実があるから……」
　
「……クソっ……勝手にしろ」

　修一がリビングルームを出た。
　
　優子はひとつ息をついた。

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