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降りしきる黄金の雫は
第4章 4 金木犀
いつの間にか眠っていたらしく、風に頬を撫でられて目が覚めた。
「うわっ、寒いな。こんなとこで寝ちゃってたのか」
身体を起こすと眩しい人が目の前に座っていて息をのんだ。
「――!」
切れ長の一重の深緑の瞳、象牙色の肌にオレンジに近い金色(こんじき)のゆるく波打った髪。薄い透け感のある、とび色のローブがふわりと身体を覆っている。胡坐をかいてこちらを見つめながらじっと佇んでいる。恐怖はないが絶対に人間ではないことは確かだ。何もアクションを起こしてこないその人に向かって、僕は息を整え尋ねる。
「あ、あなたは、誰――ですか」
ふわっと風が動き、その人は庭へ目線をやり「あれだ」と艶やかなそれでいて威厳のある声で答えた。
「え、あ、あれって?」
視線の先にあるのは金木犀だ。
「あ、あなたは金木犀の精なのですか!?」
「お前たちに言わせるとそうなるのかな」
今一つこの状況が頭の中で整理が出来ず、おろおろしていると金木犀の精はふふっと笑んだように見え、その瞬間、金木犀――彼の香りがあたりを漂った。その芳香で落ち着きを取り戻し、僕は姿勢を正し質問をすることにした。
「うわっ、寒いな。こんなとこで寝ちゃってたのか」
身体を起こすと眩しい人が目の前に座っていて息をのんだ。
「――!」
切れ長の一重の深緑の瞳、象牙色の肌にオレンジに近い金色(こんじき)のゆるく波打った髪。薄い透け感のある、とび色のローブがふわりと身体を覆っている。胡坐をかいてこちらを見つめながらじっと佇んでいる。恐怖はないが絶対に人間ではないことは確かだ。何もアクションを起こしてこないその人に向かって、僕は息を整え尋ねる。
「あ、あなたは、誰――ですか」
ふわっと風が動き、その人は庭へ目線をやり「あれだ」と艶やかなそれでいて威厳のある声で答えた。
「え、あ、あれって?」
視線の先にあるのは金木犀だ。
「あ、あなたは金木犀の精なのですか!?」
「お前たちに言わせるとそうなるのかな」
今一つこの状況が頭の中で整理が出来ず、おろおろしていると金木犀の精はふふっと笑んだように見え、その瞬間、金木犀――彼の香りがあたりを漂った。その芳香で落ち着きを取り戻し、僕は姿勢を正し質問をすることにした。