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降りしきる黄金の雫は
第8章 8 日常
仕事から帰り雑事を済ませ寝室にいるといつの間にか桂さんはそばにいて、少しの会話のうちにまどろむと朝には消えている。
そんな毎日が続く。
盛り上がる会話を交わすわけではないがぽつぽつ親交が深まっている気がしている。
彼の本体の金木犀もすこぶる元気で、僕も自分の健康状態には気を使っているおかげで調子が良い。
そのうちなぜか会社で僕に恋人がいると噂されるようになった。
「芳樹、俺にも紹介しろよ」
「えっ、だ、誰をですか?」
「いるんだろ? 彼女」
「いませんよ」
「隠すなよ。俺にまで」
出先からの帰りにコーヒーでも飲もうと岡田先輩に誘われたカフェで唐突に恋人の存在を尋ねられた。
「いえ、ほんとなんですって」
「でもなあ、芳樹。 なんかみんな言うようにさ――綺麗になった」
「き、綺麗って――男に言うことじゃないでしょう」
「ん――」
岡田先輩は複雑な表情をする。
「もし、そんな人ができたら一番言いますよ」
「そうか?」
「ええ、もちろんです」
どうやら桂さんのおかげで健康どころか美容効果が出ているらしい。確かに最近肌が滑らかになっているし、艶が出ているかもしれない。
改めて植物の重要性を社会に訴えたいものだなと思いながら、岡田先輩には森林浴のおかげだと言っておいた。
あまり信じてもらえた感じはないが実際に桂さんが側にいることは森林浴になっている。どちらにしろ、彼のことを話しても、もっと信じてもらえないだろうと思うと少し寂しかった。
そんな毎日が続く。
盛り上がる会話を交わすわけではないがぽつぽつ親交が深まっている気がしている。
彼の本体の金木犀もすこぶる元気で、僕も自分の健康状態には気を使っているおかげで調子が良い。
そのうちなぜか会社で僕に恋人がいると噂されるようになった。
「芳樹、俺にも紹介しろよ」
「えっ、だ、誰をですか?」
「いるんだろ? 彼女」
「いませんよ」
「隠すなよ。俺にまで」
出先からの帰りにコーヒーでも飲もうと岡田先輩に誘われたカフェで唐突に恋人の存在を尋ねられた。
「いえ、ほんとなんですって」
「でもなあ、芳樹。 なんかみんな言うようにさ――綺麗になった」
「き、綺麗って――男に言うことじゃないでしょう」
「ん――」
岡田先輩は複雑な表情をする。
「もし、そんな人ができたら一番言いますよ」
「そうか?」
「ええ、もちろんです」
どうやら桂さんのおかげで健康どころか美容効果が出ているらしい。確かに最近肌が滑らかになっているし、艶が出ているかもしれない。
改めて植物の重要性を社会に訴えたいものだなと思いながら、岡田先輩には森林浴のおかげだと言っておいた。
あまり信じてもらえた感じはないが実際に桂さんが側にいることは森林浴になっている。どちらにしろ、彼のことを話しても、もっと信じてもらえないだろうと思うと少し寂しかった。