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監禁束縛〜裏切りと暗殺者の最期〜
第9章 旅立ち
「……地獄に行きます」
「そうですか、地獄に……って、あなた私の説明聞いてました!?私は違う世界か異界どっちかと聞いたんですよ!?」
シェリルの言葉に女神は呆れたように聞き返した。
「私は…罪人とはいえ、人を殺しました。地獄で罪を償うべきなんです」
(それに、アンリ君がきっと地獄で待ってるから……)
「まさかこのような子供が地獄に行きたいなど言うとは……フフ、“彼”を思い出しますね」
「………彼…?」
シェリルは首を傾げた。
「……名前は確か、アンリ・アルベルトでしたか…」
「っ!?あ、アンリ君の事知ってるんですか…!?」
「もちろんです。彼も地獄に行きたいなどと行っていましたが地獄には落としませんでした。……彼はあなたの身を案じていましたよ?そして頼まれました……自分と同じ所に送ってくれと」
(あ、アンリ君が…ッ)
シェリルの瞳から涙が頬を伝い流れ落ちた。
「意地悪な質問でしたね。大丈夫、あなたには教えて差し上げます。それが彼の願いなのですから……」
女神は微笑むとシェリルの頬に手を添えて涙を指で拭った。
「め、女神さま……」
「彼が選択したのは異界です。自分の罪を終わりのない時間(とき)の中で償うと言っていました。そしてあなたを待つ、とも言っていましたね」
(い、異界……)
死者が転生する事もなく終わりのない時間(とき)を過ごす場所で成長する事などはなく、もちろん転生も出来ない“無(む)”の場所。
恐怖はあったがそこに行けばアンリに会える、彼となら悠久の時間(とき)を過ごすのも耐えられるとシェリルは思っていた。
「女神さま……私を異界に送って下さい。悠久の時間(とき)の中で罪を償います」
シェリルの意志は固かった。
「……分かりました。では異界の門を出します」
女神は悲しげな表情を浮かべた後、異界の門を出現させた。
「さぁ、異界への扉は開かれました。どうぞお進み下さい」
「は、はい……女神さま、アンリ君の事教えて頂きありがとうございました!」
シェリルは最後にお礼を言うと頭を下げてから金色に光る魔法陣にある金色の扉の中へと入っていった。
「……せめて、彼と悠久の時間(とき)を平穏に過ごせますように」
ただ祈るばかりだった。
完
「そうですか、地獄に……って、あなた私の説明聞いてました!?私は違う世界か異界どっちかと聞いたんですよ!?」
シェリルの言葉に女神は呆れたように聞き返した。
「私は…罪人とはいえ、人を殺しました。地獄で罪を償うべきなんです」
(それに、アンリ君がきっと地獄で待ってるから……)
「まさかこのような子供が地獄に行きたいなど言うとは……フフ、“彼”を思い出しますね」
「………彼…?」
シェリルは首を傾げた。
「……名前は確か、アンリ・アルベルトでしたか…」
「っ!?あ、アンリ君の事知ってるんですか…!?」
「もちろんです。彼も地獄に行きたいなどと行っていましたが地獄には落としませんでした。……彼はあなたの身を案じていましたよ?そして頼まれました……自分と同じ所に送ってくれと」
(あ、アンリ君が…ッ)
シェリルの瞳から涙が頬を伝い流れ落ちた。
「意地悪な質問でしたね。大丈夫、あなたには教えて差し上げます。それが彼の願いなのですから……」
女神は微笑むとシェリルの頬に手を添えて涙を指で拭った。
「め、女神さま……」
「彼が選択したのは異界です。自分の罪を終わりのない時間(とき)の中で償うと言っていました。そしてあなたを待つ、とも言っていましたね」
(い、異界……)
死者が転生する事もなく終わりのない時間(とき)を過ごす場所で成長する事などはなく、もちろん転生も出来ない“無(む)”の場所。
恐怖はあったがそこに行けばアンリに会える、彼となら悠久の時間(とき)を過ごすのも耐えられるとシェリルは思っていた。
「女神さま……私を異界に送って下さい。悠久の時間(とき)の中で罪を償います」
シェリルの意志は固かった。
「……分かりました。では異界の門を出します」
女神は悲しげな表情を浮かべた後、異界の門を出現させた。
「さぁ、異界への扉は開かれました。どうぞお進み下さい」
「は、はい……女神さま、アンリ君の事教えて頂きありがとうございました!」
シェリルは最後にお礼を言うと頭を下げてから金色に光る魔法陣にある金色の扉の中へと入っていった。
「……せめて、彼と悠久の時間(とき)を平穏に過ごせますように」
ただ祈るばかりだった。
完