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第1章 崩口川（くえくちがわ）

｢奈美…あんた一体どうしたのよ…｣
｢えっ？｣
｢あんた…急にうつむいた表情になっていたからちょっと気になって…｣
｢えっ？｣

奈美は友人の女性に対して『ちょっと…ゆうべ…パートのことで…』とものすごくつらそうな声で答えた。

友人の女性はやさしい声で奈美に言うた。

｢あっ…ああ、ゆうべのパートの仕事が急な夜勤だったので疲れていただけなのよね…｣
｢えっ？｣

奈美はこの時、頭がボーッとしていたので、友人の女性の話がはっきりと聞こえていなかった。

友人の女性は『奈美は急な夜勤でもがんばってお仕事に取り組んでいたからえらいね。』とやさしい声で言うてから『午後からは会えるよね…婚約者の人に…』と言うた。

友人の言葉を聞いてブチ切れてしまった奈美が、急に怒った表情で食べかけのサンドイッチを友人の女性に投げつけた。

そしてまた、うつむいた表情になってしまった。

友人の女性は、奈美に一体なにがあったのかを聞いてみた。

すると奈美は、友人の女性にのりひこと別れることを検討していると突き放す声で答えた。

それを聞いた友人の女性は、びっくりしていた。