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第1章 崩口川（くえくちがわ）

そして１月24日のことであった。

奈美は、のりひこの上司夫婦に泣きながら電話をした。

奈美はのりひこの上司夫婦に『１月４日にのりひこからデートのお誘いの電話を断ってしまったことが原因でのりひこのスマホに電話がつながらなくなってしまった。』と泣きながらキュウジョウを訴えた。

のりひこの上司夫婦は、奈美に対して『のりひこさんは年度末が近づいているので気持ちが落ち着いていないだけよ…』とやさしい声で答えた。

しかし、奈美はグスングスンと泣いてばかりいたので、おだやかに話し合いをすることができなかった。

困り果てたのりひこの上司夫婦は、のりひこの家に電話をして、のりひこ本人に説明を求めることにした。

その日の夕方６時過ぎのことであった。

ところ変わって、丹原中町にありますのりひこの家にて…

のりひこは、夕方５時50分頃に帰宅をしたが、ものを言うことができないくらいにヒヘイした表情になっていた。

のりひこはこの日、手違いで仕事をしくじったので一番上の上司から強烈な声で怒鳴られた末に殴られてしまった。

そのために、のりひこはものを言うことができないくらいにヒヘイしていた。

オレは…

なんのために…

アイコー(松山の進学校)へ行ったのであろうか…

オヤジがアイコーアイコーとやかましく言うから仕方なしに行っただけや…

超一流大学を卒業すれば超一流企業に入社できると言うからその通りに生きてきた…

せやのに…

なんなんねん一体…

のりひこの気持ちがイラついている中で、家に上司夫婦から電話がかかってきた。

電話の応対は、華永がしていた。

上司夫婦は、近くに奈美がいるので奈美に受話器を渡した。

受話器の向こう側にいる奈美は、華永にのりひこの声が聞きたいと言うたので、華永は『それじゃあのりひこに変わるわね。』とやさしい声で答えた。

華永は、やさしい声で端にいるのりひこに奈美から電話がかかっていることを伝えた。