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第1章 崩口川（くえくちがわ）

日付が変わって、１月25日の深夜０時半頃のことであった。

のりひこから冷たくあしらわれた奈美は、三津屋東の崩口川（くえくちがわ）の河口付近にある公園にいた。

ひとりぼっちでベンチに座っている奈美は、ぐすんぐすんと泣きじゃくっていた。

奈美は、１月４日にのりひこからの電話のさそいを断ったことについて『あの時は、パートの予定が変更になってしまったから別の日にちにしてねと言うたのに…』と言うて断っていた。

それなのにどうしてなのよ…

サイアクだわ…

こんなことになるのだったら…

結婚なんかやめた方がいいみたいだわ…

アタシ…

疲れたわ…

奈美は、ものすごくボンヤリとした表情で河口の方をながめていた。

この時、のりひこが黒のジャンパーで黒の手袋をつけた状態で現れた。

奈美は、恐ろしくなってその場から逃げだそうとしていたが、腕をつかまれて砂場へ連れて行かれた。

｢イヤ、イヤ、イヤ、イヤ!!｣

(ガツーン!!)

のりひこは、奈美の顔をより強烈な力をこめてグーで殴って砂場の砂の上に倒した。