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第2章 崩口川(くえくちがわ)・排撃

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(プシュー、プシュー、プシュー…)

ものすごく強烈なにおいが立ちこめているスプレーが吹き出す音が聞こえていた。

時は、2017年11月中旬のことであった。

和歌山県田辺市で、小学３年生の女の子が学校へ行く途中の道で20歳の市役所の契約職員の男にスプレーを吹き付けられたことが原因で窒息死した事件が発生した。

事件を起こした20歳の市役所の契約職員の男・稲井分津利(いないぶっつり)は、事件現場から逃走をした後に行方をくらませた。

和歌山県警は、分津利を殺人の容疑で全国に特別手配をして、捜査を始めていた。

話は、それから３ヶ月後の2018年２月22日のことであった。

この日、西条市北条多賀にある分津利のオジ夫婦の家に田辺市の市役所から強制追放の通知(重度の雇用規約にテイショクする恐れがあるため)の書面が届いた。

書面によると、分津利は田辺市の職員としてふさわしくないふるまいをしたり、住民との間で深刻なトラブルを繰り返していた他、女子児童がらみの性的暴行なども起こしていた…

分津利は、４ヶ月ほど前に女性職員さんにストーカーをして警察から警告を受けた際に市役所の人事課からサイゴツウチョウの書面を突きつけられていた。

しかし、分津利は市役所から突きつけられたサイゴツウチョウを無視して女性職員さんに再びストーカーをしていた。

そのために、市役所から強制追放の通知がオジ夫婦の家にソウフされた。