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朏の断片‐ミカヅキ ノ ダンペン‐
第4章 03

同じ年頃の男子は美希の知る限りいない、他の病棟までいけばいるかもしれないが滅多に病室を出歩かない美希では出会いがない。医師の中には若手もいるがどうにも恋愛対象としてみることもない。
呼吸にあわせて上下する小さな胸。そしてその下にいつ止まるともわからない心臓が必死に脈打っていた。
(やっぱり無理かな。ドキドキしたら、余計に心臓に負担かかるよね)
諦めに似た気持ちがのし掛かる。大好きな誰かに抱き締められたりキスされたり、――それは美希にとって、まるで童話の王子様を待つようなものだ。

