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最後のキス~琉球の海を渡る風~
第3章 The wind of Ryukyu~琉球の風~
まるで広い世界に今、この瞬間、王と自分以外の者は誰も存在しないような錯覚にさえ囚われる。大好きな男と二人だけの時間が嬉しいのか、それとも、いつになく烈しいまなざしで見つめてくる彼への恐怖が勝っているのか、藍那は次第に判らなくなるほど動揺していた。
雨は止むどころか、ますます烈しさを増してゆく。遠くで雷鳴が轟く音さえ聞こえてきた。沈黙の中、雨音がひときわ大きくなったようにな気がした。