この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
最後のキス~琉球の海を渡る風~
第3章 The wind of Ryukyu~琉球の風~
今だけは、よく似た真戸那という少女の身代わりでも良いと思った。こんなに孤独で淋しい男を少しでも慰めてあげられるのならば、大好きな男が求めてやまない女性のふりをするのも悪くはないと思ったのである。
「ありがとう、真戸那。私が愛したのは何もそなたの見かけの美しさや聡明さだけではない。幼い日、露店で買い求めた安物の簪を今でも後生大切にしてくれる―そういう、そなたの心の美しさ、優しさを何より愛したのだ。そのことだけは忘れないで欲しい」
「ありがとう、真戸那。私が愛したのは何もそなたの見かけの美しさや聡明さだけではない。幼い日、露店で買い求めた安物の簪を今でも後生大切にしてくれる―そういう、そなたの心の美しさ、優しさを何より愛したのだ。そのことだけは忘れないで欲しい」