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アンケートから生まれた Love story
第14章 いつまでも、幸せに
……嗚咽によってその声は擦れていて
消えてしまいそうな程小さく見える。
窓の外側に立った秋の表情は、横から少ししか見えないけど
微動だにせずに、お母さんを見つめている。
「……俺が、自分の意思で残るって決めたんだ」
少しの沈黙の後、秋がそう答えると
体を起こしたお母さんは首を左右に振った。
「当時は私も弱っていて、正常な判断が出来なかった」
「……!」
「無理矢理にでも、引っ張っても連れ出すべきだったのに
あなたの勇気と優しさに、甘えてしまったのよ」
ようやく顔から手を離した彼女の目は真っ赤で
今度は秋が何も言えなくなってしまう。
「……全部知っているし、分かってたの」
「……!」
「あの人の暴力が私に向かないように、秋が残ったこと。
父親を支えたことに負い目を感じて、私に会わないことも。
……それでも、きっと帰ってきてほしいと願ってくれていたことも」
「……っ」
「……本当にごめんなさい、秋。
心の優しいあなたを、私は守れなかった。
……ごめんなさい……」