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瀬音とボクとよしみくん
第39章 よしみくん
それは、なんでもないある日。


ボクは、街を歩いていた。


いまだに、東京の街には慣れない。


人込みの中を歩いていると、みんなボクにぶつかってくるようだ。


必死で、よけようとするので精一杯。


だけど、おもいっきり人にぶつかられて転んでしまう。


「ふぎゃっ」


バカみたいに道端に倒れてしまうボクのことは誰も気にしない。


恥ずかしい。


「大丈夫?」


「え?」


こんな東京で、手を貸してくれる人が?


「あ、はい」


見た目はちょっとあやしい。


いやかなり。


大きな帽子に、サングラスと、そしてマフラー。


帽子から出るほど長い髪は銀髪。


だけど、声が、なんだか優しかった。


ボクは、その人が貸してくれた手を取り起き上がる。


「ありがとうございます」


「じゃあ、気をつけてね」


その人はボクを助けると、すぐに急ぎ足で雑踏の中に消えていってしまった。
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