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瀬音とボクとよしみくん
第41章 あの日、あの時
はじめは、転校が嫌になり家出だと思われていたらしい。
「あの日、兄は、一ノ瀬さんに会いに行ったんだと思います」
「え? どういうこと……?」
「実は、急な転校だったので誰にも言えずに、すでに引っ越しはしていたんです。でも、引っ越しで忙しい最中、兄が急に一人で戻ったんです。落ち着いたら挨拶に行くつもりだったのに。だから、家出なんだろうって」
「そんな」
「でも、私にはわかります。きっと別れを言えなかった友達に会いにいったんだって……」
「え、まさか、その時に?」
「えぇ、それから行方不明になってしまって……」
「それじゃ、ボクのせい?」
「あ、いえ、そんなわけでは……」
「純のせいじゃねぇよ。良実がそうしたかったんだろ。誰のせいでもない」
瀬音くんが頭に、手をおいていつも以上に優しく言う。
「うん、ありがとう」
あの日のことを思い出す。
あの日、ボクは何をしていたんだろう。
どこでなにを?
思い出せない。
10年も前の出来事……
それも、当時はなんでもない日。
「あの日、兄は、一ノ瀬さんに会いに行ったんだと思います」
「え? どういうこと……?」
「実は、急な転校だったので誰にも言えずに、すでに引っ越しはしていたんです。でも、引っ越しで忙しい最中、兄が急に一人で戻ったんです。落ち着いたら挨拶に行くつもりだったのに。だから、家出なんだろうって」
「そんな」
「でも、私にはわかります。きっと別れを言えなかった友達に会いにいったんだって……」
「え、まさか、その時に?」
「えぇ、それから行方不明になってしまって……」
「それじゃ、ボクのせい?」
「あ、いえ、そんなわけでは……」
「純のせいじゃねぇよ。良実がそうしたかったんだろ。誰のせいでもない」
瀬音くんが頭に、手をおいていつも以上に優しく言う。
「うん、ありがとう」
あの日のことを思い出す。
あの日、ボクは何をしていたんだろう。
どこでなにを?
思い出せない。
10年も前の出来事……
それも、当時はなんでもない日。