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瀬音とボクとよしみくん
第41章 あの日、あの時
が、それを、ボクは受け取れず、落としてしまう。


「……し、しってる……しってるよ、しっ、しっ……」


「おい、大丈夫か、純っ!」


「あうっ……ごめん、スマホ……落、とし」


ボクは、その場にうずくまった。
震えが、震えが止まらない。


まるで、雪山に遭難したかのように。


「瀬音……くん、お、覚えて、な、ない? その顔……」


覚えているはずなんかないのに、見た瞬間に思い出す。


あの顔。


笑顔なのに、笑っていない顔。


そうか、あの時、ボクも会っていたんだ。


犯人に。


ボクが、はじめて女装をして、瀬音くんにゲームセンターで会ったあの日。


あの時、もしも、瀬音くんが助けてくれなかったと思うと、ゾッとする。
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