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瀬音とボクとよしみくん
第41章 あの日、あの時
「違います。一ノ瀬さんのせいではありません」


泣きながら事情を説明するボクに、みかねた良美ちゃんが慰めてくれたみたいだ。


ボクとは対称的に冷静に説明を始める。


「もともとは私のせいなんですから。あの転校は私のためだったんですから」


「ど、どういうこと?」


涙を拭きながら良美ちゃんの説明を聞く。


「はい。親が離婚して、名字が違うといいましたけど……」


「うん、やっぱり……事件と関係が?」


「いえ、違います。もともと、離婚していたんですよ。説明不足でしたね。離婚して変わってたのは兄の方です」


「え、そうなの?」


「えぇ、当時、私は少し不登校になっていまして、私と父は、兄と母たちとは別々に住んでいたんです」


そういえば、良実くんの家にはいつも誰もいなかった。
あんなに大きい家だったのに。


「そして形だけですけど離婚していたんです、いろいろありまして。だけど、もう一度みんなで暮らそうということになって」


「それで、転校……」


「はい、だから一ノ瀬さんのせいではありません」


「それをいうなら、良美ちゃんのせいでもないよ」


だれのせいでもない。


そう思いたい。
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