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瀬音とボクとよしみくん
第41章 あの日、あの時
「お前が、俺のことを里美ちゃんって。女の子だって言ったんだぞ」


「え~、覚えてないよ」


「あぁ~、はっきりと思い出してきた。ムカついてきたわ」


「え、ごめんって……でも、それって、すごいよね、実は、三人が、会っていたなんて……」


ボクは、写真をまじまじと見る。


「あー、泣くなって、悪かったよ」


「だって……」


でも、これは嬉し涙だよ。


「だって、嬉しいんだもん、それを今、こうして、また良実くんに会えたんだもん」


「えぇ、今日は本当に来てよかったです。一ノ瀬さん、瀬音さん、ありがとうございます」


「ううん、こちらこそ……」


「あの日、純が良美ちゃんをみかけたのも運命だな」


「あの日」


「ほらっ、学祭の前日に大学に来たって……」


「え、前日? 前日だったんですか? 学祭には行きましたけど、前日には行ってませんよ」


「え? うそ、じゃあ……」


すると、突然
風が吹き、桜が舞う。


そっか、良実くんだったのかも


なんて。


「いや、そうかもな、良実だったんだよ」


「そうだよね」


良実くん、さようなら。






……やっと、言えたような気がする。
〈さくら〉の花びらが一枚、手のひらに舞い落ちる。
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