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イケメンエリートの欠点
第4章 幸せに揺れる日々
「玲那、あの春物のコート可愛くない?」

「どれ?…あ、あの薄いピンク色の?」

「きっと玲那に似合うよ。あれ買ったら?」

「うーん。でもさ」

「絶対玲那に似合うって。試着させてもらおうよ」

「でも、先週も買ったばっかりだよ?ほら!今日着てるの、その時賢哉が買ってくれたやつ。もう忘れちゃった?」

聞く耳持たず。

馴染みのショップへと半ば強引に繋いだ手を引っ張られ、玲那は慌ててその場に踏ん張る。

売り場に佇んでいた顔馴染みの女性店長が、こちらに気付いた。

玲那は困ったような笑いを浮かべ、軽く頭《かぶり》を振る。

心得ている店長は微笑み、小さく頷き、深々とお辞儀をした。

玲那はほっとし、彼に負けじと手を引っ張り返す。
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