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第6章 擦れ違う思惑

「玲那を嫌いになる日は一生来るわけない。なのになんで、そんな事言うの？…俺、玲那に何かした？」

『病める時も健やかなる時も』ー結婚式での誓いは絶対だと、事ある毎に彼は言う。

今回もそれを指しているのはすぐに分かった。

でもここでいつものように、すぐに『うん』とは頷けない。

言ってしまったら最後、いつもの調子で上手く誘導され、押し切られそうだった。

『働きに出たい』という願いすら、なかった事にされてしまう。

表立って、彼は否定しない。

けれど多分、内心は快く思っていないのが分かるから、それだけはなんとしても阻止したかった。

「だって賢哉、何度言っても私の話を真面目に聞いてくれないじゃない。…私の事、大切に思ってくれなくなったからじゃないかって」

玲那が言いにくそうに告げれば、賢哉ははっとした表情をする。