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乳房星(再リフォーム版)
第145章 腕に虹だけ
時は、11月10日頃であった。

ここ(北九州)に来てから5ヶ月の間、キンショウブロックの二度切りぜんとばしでおカネを稼いでいた。

月給9万円であった。

稼いだお給料のうち、毎月7万円を預金通帳の口座に入れて貯金をした。

一刻でも早くアメリカ合衆国へ帰りたい…

そのためには、なにがなんでもカネを稼がないと…

私の気持ちは、ひどくあせっていた。

11月11日の夕方5時50分頃であった。

「オドレ!!どつきまわしたろか!!」

この時、目つきが悪い男が急に私に殴りかかってきた。

この5ヶ月の間、私は目つきの悪い男と毎日かおを合わせていたけど、この日に限っていえばジンジョウではなかった。

一体、なにがあったのだ…

目つきの悪い男は、私に『むしゃくしゃしとるけん八つ当たりせな気がすまんのじゃ!!』と言うてワケのわからへんこといよった。

しかし、男は私を殴りつけなかった。

私は口に出さなんだ。

けれど、腹の中では『オドレがそないに言うのであれば、いつでもケンカこうたるわ!!』と激怒した。

もうこらえへん…

次の日の朝、目つきの悪い男はいつも通りにキンショウブロックを持ってきた。

男は夕べのことはケロッと忘れていた。

私は『ほな、これぐらいでかんにんしたるわ!!』とつぶやいた。

しかし、腹の中の怒りはおさまっていない…

11月28日の夜7時頃であった。

二度切りぜんとばしを終えた私は、家出する準備を始めた。

5ヶ月の間ガマンしたけど、やっぱりヤーメタ…

深夜11時50分頃であった。

倉庫から飛び出した私は、キンショウブロックからつみ取ったしいたけの実が入っているケースを店の裏口にそっと置いた。

その後、私は再びあてのない旅に出た。

ひろこ姐はん…

すんまへん…

11月30日で在留期間が満了するけん…

ニュウカン(入国管理局)へ行こわい…

アメリカ合衆国へ帰ろうか…

アメリカ合衆国へ…

帰ろうか…
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