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blossom
第16章 Love15:焦らす男
「さくらはそれでイクの?」

「イッてもいい?もうイッていい?イクよ…」

胸を揉んでいた左手に力が入って、自分の爪を立てて形が変わる程に鷲掴みにしていた。

「あぁあっイクッ…イクッ…イッ…」

背中がピンと弓なりになって、片足はもう立ててもいられなくなる。

(今度こそイカせてくれるんだね…)

自分の手で呼び起こされたものだろうが何だって良かった。とにかくもう、ずっとすぐ傍にある絶頂感を手に入れたかった。

息もせずに集中する。

もう我慢できない…



イク…





無情にも、私の手首は涼くんに掴まれ、宙に浮いていた。




気が遠くなりそうだった。


小さな雫が一粒垂れて起こる、僅かな快感の波紋だけ味わうことができたような気がした。




ただただ悲しくて、嗚咽をあげて泣いてしまう。

こんなに悲しい気持ちになるなんて。

流れる涙を拭うこともせず、ただただ小さな波紋の余韻を少しでも味わおうとしていた。


「さくら」
涼くんが握ったままだった手首をベッドに押しつけた。胸を握っていた手も同じようにベッドに。

そして、濡れ続けている頬に唇を寄せた。

「泣かせてごめんね」

涼くんのそんな言葉にも、何故かまた涙が出てしまう。
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