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第21章 　リビドー

　…
　がんきタイム完走を果たした優夏。
　その賞金の授与式が、行われることとなった。

　小林から、約束の賞金8万円が、優夏に手渡される。
　大きな拍手の中、賞金を受取る優夏。
　だがその心中は、複雑だった。
　“8万円は有り難いけど…”
　“結局、イっちゃったわけだし…”
　“それを、みんなに見られたわけで…”
　“試合に勝って、勝負に負けた気分だわ…”
　その複雑な心境は、表情にも表れていた。

　続いて、絶頂予想タイムの発表が行われた。
◆細目の男・・・・・ 7分44秒
◆坊主頭・・・・・・11分11秒
◆大木・・・・・・・12分34秒
◆田村・・・・・・・15分　完走。
「……………えっ！！！」
　田村を除く3人が、同時に声を上げた。
「まじか...」
「それもありだったんか...」
「田村部長、凄いです...」
　まさかの完走という選択肢に、3人は驚いていた。

　そして一番驚いていたのは、優夏である。
　“うそっ…”
　“完走もありなの？”
　“てっことは…あたりってこと…”
　優夏の顔は、引きつっていた。