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蜜月非行【1】 〜フリーズ・破廉恥ショー〜
第5章  催眠術ショー
 これまで樹生の姿がなかったのは、お客様が帰る際に渡す粗品の準備をするため、1階の仮事務室で、箱詰めなどの地味な雑務を行っていたからである。
 それは小林からの命令であった。
 マジックショーでは、優夏の窮地を2度救ってきた樹生。
 小林は、樹生がショーの邪魔になると判断し、急遽その雑務に回したのだ。
 優夏の事が気掛かりだった樹生は、急いで雑務を終わらせ、会場にやって来た。
 そして、辱めを受けている恋人を救うため、優夏の元に走ったのだった。
 …
 優夏のいる舞台下に着いた樹生は、一気に舞台に上がった。
 すると一人の男が、樹生の左足を掴んで引きずり降ろそうとする。
「んっ!離せよっ」
 樹生は怒り、右足でその男の手を蹴った。
 それでもその男は、樹生の左足を離さなかった。
 するともう一人男が現れ、もう片方の右足を掴んできた。
「おい、何するんだよっ」
 両足を掴まれ、引きずられていく樹生。

 樹生の足を掴んできたのは、酔っぱらった客達だった。
「お前こそ、何してんだよっ」
「そうだぞ、これからいいとこなんだから」
 酔っぱらい客2人は、樹生を引きずり降ろそうとする。
 それでも樹生は、必死に前進しようとする。
 そして意識朦朧状態の、優夏に声を掛ける。
「優夏っ!大丈夫か?」
「んっ…あっ!?…樹生っ!」
 樹生の声で、優夏が意識を取り戻した。
「優夏っ!!!...今助けるから...あっ!?」
 しかし樹生は、酔っぱらい客2人により、舞台下に落されてしまった。
「ああ…樹生~~~」
 優夏の悲痛な声が、会場に響き渡る。
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