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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第2章 幕開け
 呼べば、乳母の細い眼からも涙がころがり落ちた。



「私がいるじゃありませんか、お嬢さま」




 ヒジンはソファに近寄り、震える手でソファの頬を撫でた。



「旦那さまや奥さまが生きておいでだったら、私は即鞭打ちどころか、殺されていましたね。主家のお嬢さまに手を上げるなど、使用人には許されないことです」
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