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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第11章 悲歌
 母と過ごした短い日々の殆どを忘れしまっているというのに、不思議と憶えているのが二つ。母がかすみ草をこの上なく愛しており、ささやかな自宅の前の庭ともいえない庭にあの白い花を植えていたこと。ある日、小さな村に影絵芝居の一座が訪れ、母がなけなしのお金をはたいて芝居を見に連れていってくれたこと。
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