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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第16章 雪の日の客人
 それでも、〝民の安寧〟と書く者は少ないはずだ。



 ヨンの静かな声が間近で聞こえた。


「正直なところを教えて欲しい」


 明華は声に誘われるように、彼を見上げた。



 いつしか夜空を飛翔する風燈はいずこへともなく消え、二人を取り巻く人波もまた動き出していた。
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