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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第16章 雪の日の客人

けれども、母はけして話に乗らなかった。
ー明華、良いかい。どんな甘い餌を出されても、王室なんぞと拘わってはならないよ。王宮は怖いところだ。特に王の寵愛を受ける女たちが暮らす後宮は、見かけは花の咲き乱れた美しい庭園だけど、その実、女たちが足を引っ張り合う魑魅魍魎の世界だという。数ある女たちの中で、誰が真っ先に男御子を産むか、女たちの頭にはそれしかない。自分の息子が王世子になり、やがて次代の王の母として権力をふるうためには、人殺しだって何だってやるような連中さ。
ー明華、良いかい。どんな甘い餌を出されても、王室なんぞと拘わってはならないよ。王宮は怖いところだ。特に王の寵愛を受ける女たちが暮らす後宮は、見かけは花の咲き乱れた美しい庭園だけど、その実、女たちが足を引っ張り合う魑魅魍魎の世界だという。数ある女たちの中で、誰が真っ先に男御子を産むか、女たちの頭にはそれしかない。自分の息子が王世子になり、やがて次代の王の母として権力をふるうためには、人殺しだって何だってやるような連中さ。

