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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第31章 再び後宮へ

尚宮はここで声調を戻し、嬉しげに言った。
「後宮で生きる女は、殿下のご寵愛を失っては生きてゆけぬ。文字通り、生きているだけで、その実生きながら死んでいるのも同然。我ら、淑儀さまにお仕えする者一同、気を揉んでいた。ところが、淑儀さまがご懐妊された。ここのところ、夜離れが続いていたというにご懐妊されたのは、喜ばしい限りではないか。もっとも、夜のお召しはなかったが、殿下が昼間にお渡りになることは何度かあったので、《そのようなこともあった》のだろう。まったく、淑儀さまは運の強いお方よ」
「後宮で生きる女は、殿下のご寵愛を失っては生きてゆけぬ。文字通り、生きているだけで、その実生きながら死んでいるのも同然。我ら、淑儀さまにお仕えする者一同、気を揉んでいた。ところが、淑儀さまがご懐妊された。ここのところ、夜離れが続いていたというにご懐妊されたのは、喜ばしい限りではないか。もっとも、夜のお召しはなかったが、殿下が昼間にお渡りになることは何度かあったので、《そのようなこともあった》のだろう。まったく、淑儀さまは運の強いお方よ」

