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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第33章 第四話【消えた娘】
「観相師~王を導く娘~」第四話。

 第四弾は、まさかの○○? 衝撃の展開となります。
 併せて、若き僧侶の生命を賭けた恋を描きます。
***********本文より抜粋

あまりに気が急いたため、明華は王宮正門が見え始めたところでまた大きく転んだ。
「明華」
 追いかけてきたヨンが慌てて彼女を抱き起こそうとする。
「放して、触らないで」
 明華はヨンの手を容赦なく払った。
 ヨンがまた駆けてゆこうとする彼女の手を掴む。
「もう良いだろう。そなたは十分に手を尽くした。処刑は残酷なものだ。若い娘が見るものではない」
 明華は咬みつくように言った。
「何がもう良いの? 私は何もしていないし、宗俊さまを救えなければ何の意味もないのに」
 ヨンの端麗な面には、深い哀しみの色が宿っていた。
「私は宗俊の生命が失われて良いものだと思っているわけではない。叶うことなら、彼の生命を助けたかった」
 明華は声の限りに叫んだ。
「きれい事はもうたくさんです」
 結局、あなたは、この国の王として彼を救わなかった。あなたは王だから、あなたがひと言言えば、宗俊を少なくとも死罪から免れさせることができたのに。
 本当は判ってはいた。彼は王だからこそ、彼の死罪を止めろとは言えなかったのだ。私情だけで国王は動けない。たとえ王だとはいえ、国法をみだりに曲げられはしないのだ。
 誰よりも公正であらねばならない、それが王としての正しい在り方だ。
 けれど。結局、罪を犯した令嬢は何の咎めもなく太陽の下を生きてゆける。裏腹に、何の罪もない宗俊は令嬢の罪を被り、人身御供になった形だ。
 そんなことがあって良いのか。神も仏もないではないか。
 ヨンを振り切り、明華はまた小走りに走った。荒い呼吸(いき)を吐きつつ、やっと広場に到着したときには既に幾重にも人垣ができていた。

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