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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第36章 予感
 彼は従容として死に逝こうとしている。血と汗に薄汚れた衣を身につけていても、眼(まなこ)は澄み渡り、じいっと一点を見つめていた。



 明華の隣には中年の夫婦者がいた。



「世も末だねぇ。坊さんが人殺しをするとは」
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