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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第36章 予感
 一本の脚が折れているのだけれど、明華は副え木をして紐で括って今も大切に使っている。母を思い出す数少ないよすがの一つだ。




 このお嬢さまは、あの宏壮な屋敷で生まれたときから何不自由なく、贅沢に育てられた。彼女の眼に、この今にも崩れ落ちそうな襤褸家はどのように映じているのだろう。
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