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月の姫~夢占(ゆめうら)の花嫁~
第47章 迷宮
彼は妻と子の顔を思い出しながら応えた。
「妻子の代わりはありますが、殿下は代わりのきかない、大切なお方です」
王はうつむき、小さく首を振った。やがて、彼を見つめて言う。
「朕のために、その手を血で汚すのだけは止めてくれ。ヨ内官、そなたの求める理想の世とは何だ? 血塗られた玉座に座る王が統治する国に真の幸せがあるとでも? 屍の山の向こうに、そなたの夢見る世の中はあるのか? 本当の幸せとは、愛に満ちた国にあるのではないか」