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第7章 真実

　王は淡々と続けた。




「母の記憶は実のところ、あまりないんだ。おかしなことに、母と暮らした記憶は朧だというのに、母がかすみ草を大好きだったことだけは妙によく憶えている。ムスリだった母は当時、東宮だった俺の父に見初められ、俺を身籠もった。さりながら、大妃さまは嫉妬深い方で、女官ならともかく雑用係にすぎないムスリにまで父が手を付けたと知って、半狂乱になった」