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不倫研究サークル
第14章 愛莉
「やっと落ち着いた。 そろそろ行こうか」

愛莉はベンチから立ち上がり、僕に手を差し伸べた。僕は愛莉の細くて白い手を握り、立ち上がるが、その反動で愛莉が僕に引き寄せられる。

僕は、駅のホームで愛莉を抱きしめた。

大きく膨れ上がった不安という風船を圧し潰すかのように、強く抱きしめる。

「圭……、苦しいよ。 どうしたの?」

「ゴメン、なんでもない。 行こうか」

ホームの階段を上り、改札へ出ると、東京にしては夜空が開けていた。

「圭、ちょっと、ドラッグストアへ寄りたいんだけど」

「ああ、良いよ。 胃薬でも買うの?」

「まあ、そんなトコ」

駅前には、コンビニやドラッグストア、それに飲食関係のお店が数件ある。愛梨はドラッグストアの前で立ち止まると『一人で買い物する』と言って、僕を表に待たせた。

暫くしてドラッグストアから、愛莉は紙袋を持って出てきた。

「ごめんね、待たせちゃって」

「ううん、ちょっとだし、全然待った内に入らない」

「そういや、圭が私の家に来るのって、初めてだったね」

「そうだね、お母さんが居たら、挨拶できるのにな」

「笑 母さんに会ったら、ビックリすると思うよ」

クスクスっと、この日初めて、愛莉は心から笑った様だった。




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